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日本唯一のトロリーバス
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発着場になる扇沢駅。普通の電車と同じように改札がある。乗車券はバーコードで識別するシステムになっている。
黒部ダム駅、低い段差だがプラットフォームには番号表示や駅名、時計もあって、地下鉄の駅のようだ。
トロリーバスはトロリーコーチ(Trolleycoach)あるいはトラックレストロリー(Tracklesstrolley)とも呼ばれていて、日本語では無軌条電車と翻訳されています。見た目は普通のバスと同じでタイヤが四本、しかし屋根には集電装置がついていて、架線から電力を得て走っている。はたしてバスなのか、電車なのか?
日本では法的にトロリーバスはモノレールや新交通システム、ケーブルカー、浮上式鉄道(リニアモーターカー)などとともに特殊鉄道ということになっているので、分類としては鉄道になるのです。確かに関電トンネルトロリーバスの発着場は「扇沢駅」「黒部ダム駅」と言われていますし、乗り降りしている場所も地面から一段高くてプラットフォームのようになっています。また路線となる関電トンネル内には線路諸標という、距離標や勾配標などが設置されており、JRや私鉄の線路脇にあるような鉄道特有の標識と同じ役目をしているのです。
案内表示、待避表示や勾配表、曲線表など鉄道特有の標識が設置されている。これも電車ならではの所以である。
トロリーバスは日本語で「無軌条電車」と訳されていますが、かつては無軌道電車という用語も使われていました。無軌条とは「レールのない電車」という意味で、無軌道とは「レールを含めて枕木、道床などがないもの」という意味です。どちらでも良さそうな気がしますが「無軌道」は慣用的にも一般にあまりいい印象を与えないためでしょうか、しだいに使われなくなったようです。尚、無軌条電車が軌道法(道路上を走る鉄道を規制する法律)で指定されたのは昭和22年(1947年)の事です。
黎明期のトロバス(1900年代初め)。
トロバスが生まれた頃から集電装置にポールが使われ、
レールや枕木などの軌道が無かった。
トロバスは電車の仲間であることはわかりましたが、形はバスそのもの運転する人は自動車免許証が必要なはず。そうなのです、トロバスを運転するには普通のバスと同じように「大型二種免許」が必要なのです。更に電車として運行しているため、普通の自動車免許の他に「動力車操縦者運転免許証」という免許証があり、これを取得しなければ運転できないのです。その免許証の、運転免許の種類の欄には「無軌条電車運転免許」と記されており、トロバスが電車であることを証明してもいるわけです。
昭和39年7月に交付された、関電トロバス第一号の運転免許証。
運転士第一号の山本雄幸さん。くろよん建設当時から建設現場で車両運転に従事され、平成4年に定年退職されるまで、関電トロバスの運行管理や車両管理などに携わられた。
平成17年6月、現在72才になられた山本雄幸さん。「関電トロバスの歴史は私の人生の一部でもあります。」と懐かしげに当時を振り返えり、貴重な体験談をお話いただきました。
初代:100型
二代目:200型
三代目:300型(現行機)
関電トンネルトロリーバスは、昭和39年(1964年)、東京オリンピックが開催され、新幹線が東京ー大阪間を走り始めた年に開業されました。それから現在に至るまで、無事故で運輸営業を続けています。
40年以上の歴史があるわけですが、その間車両も改良や開発が行われて、初代の100型、200型と続き、現在では平成5年(1993年)からデビューした300型が使用されています。
関電トンネル内は急勾配のため制動には空気式、電気式を併用し、後輪にはバックアップとしてスプリングブレーキ付きブレーキチャンバーを設けています。制御装置は、従来の抵抗制御弱界磁方式から電圧と周波数を変化させてモーターをコントロールするVVVFインバータ制御方式をトロリーバスでは初めて導入しました。主電動機、補助電源装置等については、最新の技術を取り入れ、またパワーステアリングを採用することにより操縦の円滑化を図っています。
最新式トロバスの証、VVVFインバータ装置。
パワーステアリングが装備された300型の操縦席。
空気式制動装置(ブレーキ)の空気を貯めているボンベ。
電気式ブレーキの抵抗器。
車体の後部左右に登載されている。
スプリングブレーキ付きの後部ブレーキチャンバー。
普通のバスと違って電車であるトロバスに
ナンバープレートはない。
関電トンネルトロリーバスをよく見ると、屋根の上にある集電装置の他にも、普通のバスとは違ったところがあることに気づくと思います。正面から見ていると何かが足りないような気がしませんか?そうです、トロバスには普通の車やバスのようなナンバープレートがないのです。
トロバスは電車という分類で、架線のある軌道を走る交通機関ですから、一般道を自走することはありません。ですから普通の車では当たり前のナンバープレートもないわけです。ちなみに関電トンネルトロリーバスは15台の同型車両が運行されていて、それぞれの車体の横と後ろには301とか302などの車体番号が書かれています。
後部にもナンバープレートはないが、三桁の車体番号が記されている。
蒸し暑い夏に電車に乗ると、冷房車両はひんやりとして気持ちいいですね。観光客で賑わう黒部ダムもトロバスに乗ってダムに着くまで6.1kmの道のりを16分走ります。やっぱりクーラーは必要だと思いますが、関電トンネルトロリーバスにクーラーはついていないのです。なぜだと思いますか?
それではタネあかし、運行ルートの大部分を占める関電トンネル(全長5.4km)内は真夏でも気温が10度かそれ以下しかなく、冷房がなくてもひんやりと気持ちいいのです。扇沢駅からトロバスに乗って、黒部ダム駅で下車し、ダムの突堤に出るまで少しトンネル内を歩きますが、半袖では寒いほどです。
ダム駅からダム突堤まではトンネル内を移動。ひんやりと肌寒い。長袖は必須です。
トンネル内は夏でも気温は10度前後。クーラーなしでも快適な車内。
自然との調和を意識した配色が施されている。
関電トンネルトロリーバスのカラーリング(配色)は初代の100型から現在の300型に至るまで、40年以上も変わることなく受け継がれています。薄い灰色をベースにアクセントの朱色が特徴的なデザインですが、よく見ると白、銀、薄い灰色、濃い灰色、黒、朱色の6色から構成されているのがわかります。 このカラーリングは開業当時に自然環境保護の観点から、クリーンエネルギーのトロバスを選んだという経緯に由来し、落ち着いた色合いで環境になじみやすい配色が基本とされています。
それから車体の下部にある四本の線は、黒部ダム(黒部川第四発電所)、通称「黒四」にちなんで黒い線が四本配置されているのです。
側面の下部には黒いラインが4本で「黒四」。
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